2025年6月 西スマトラ リアウ パダン

今回はジャングルキャンプ三回目。地域は前回と同じですが、かなり過酷な登山をして来ました。
前回のキャンプ地を目指して道の無い反対側からアタック。
麓のガイドさんにもついて来てもらったんですが、誰も反対側から入った事がなくGPSだけを頼りに崖を登ったり降りたり、滝を登ったり落ちたりして来ました。
ド乾季で道中飲めそうな水が全然無く、日が暮れ始めた頃に水源を先に探さないとヤバイってなって谷を彷徨い歩くこと数時間、やっと側溝くらいの流れを発見したのが20時頃でした。
とりあえずその日はそこでテントを張ってその辺に生えてるピクタムを見ながら就寝。
これもH.cristataかなと思っていたんですが、どうやら未記載の別種とのこと。
葉の質感と葉柄はcristataと似てるんですが、耳がある葉形が明らかに違うようです。
鮫肌+オレンジフリルの超大型種。
現地便ではこれに似た種類がcf.ドラコニスとして二種類ほど来ていますが、どちらとも違うような感じかな?と思います。
2月にも西スマ側で見た主張強めのアスペリフォリアっぽい種類。
この場所は特徴的なHomalomenaが数メートル以内に数種類見れて天国みたいでした。
ぱっと見スキスマかピクタムかと思ったら、模様めっちゃカッコいいHomalomenaでした。
乾季で水がない大きな乾いた滝で発見。
濃いグリーンの細葉がいい感じの種類。
この種類は前回と同じ山の反対側で見つけたんですが、ここの個体群は天鵞絨が強い葉でした。
前回のRiau Sumatera K0425-1とRiau Sumatera K0425-4とH.aff. squamis-draconis Riau Sumatera K0625-5が混ざったような雰囲気です。
これ今正に、混ざって進化してる途中なんですかね。
山中二日目の朝、前回のキャンプ地を目指して道の無いジャングルを再出発。
ここからが本当に過酷で、藪漕ぎをしながら、崖を登ったり降りたりしながら少しづつ進んで行き、時々出てくる底が見えない細い谷を飛び越えたり、オーバーハングしている壁をその辺の根を伝って登ったりして、どうにも出来ない絶壁に遭遇したら引き返して回り込んで回避。
そんな感じで徘徊していると段々日が暮れてきて辺りは真っ暗。山の中では夕方でもかなり暗くなるので怖いすね。蛇が。
そんな時にHomalomenaの壁に遭遇すると脳みそパーになって無敵状態になりますね。楽しかった死のう。
GPSの座標を見ると直線距離で後200m。この時既に20時30分。ラストスパートだと安心したんですよ、でも標高がおかしい…、目的地との標高差が50mもあるヤバイ足壊れる。暗くてヘッドライトだけでは前方10mくらいしか見えんけど平たんに見える…という事はどこかで急斜面か絶壁が出てくるはず、ヤバイ全身バッキバキになる。などと考えていたら幸いにも急斜面が出現。
絶望と幸福を繰り返しながら、最後の斜面を無心で踏破。22時到着!
何とか生きて到着したキャンプ地はクソでかい滝の横なので水の心配も無く、乾季でちょっと濁っているブラックウォーターで飯を炊いて復活!
この滝の下から登ってきて、翌日はこの沢の上流方向に出発し、また道の無いジャングルを探索。
多分、Homalomena sp. Sumatera Barat K0625-2と同種のグッドナロー個体。
場所が違うと同種でも特徴に違いがあって面白いですね。
この日はキャンプ地を拠点にし荷物を置いて軽装。
身軽なのでヌルい冒険が出来そうだし今日も誰も進んだことの無い方向に行こうぜ!と軽くリクエストして出発!昨日の様に死にそうになる事はないだろう。
沢沿いに進むと色々な変わった植物が見れてウッキウキで進み続け荷物も無いし体も超楽ちん。
楽すぎる…。いや何かおかしい。道も無いのに余りにも楽に進んでいる…。降っている。
上流に向けて出発したはずなのに降っている。
日が傾き始めた頃、苦行確定なくらい低い場所まで来てしまいました。
さぁ今日もナイトジャングルトレッキングだ。
この日もボロボロになって22時にキャンプ地に帰還。
やり切った達成感で幸福。
ジャングル徘徊キャンプは沼すね。
細いけど底が見えないくらい深い谷とその谷に落ちる滝。
現地のガイドさんが渡れそうか確認中。
飛び越えて渡った。
大型の天鵞絨ホマ
大群生地帯なのに何故か小さい個体しか無くて、写真の個体がここで見た一番大きい株でした。
箱の中で育てると大きくなると思うのですが。どうでしょう。
一つだけ見つかった赤個体。
葉の質感や形も大きさも緑個体と同じですが、葉表面の凹凸の形が緑個体は点々の丸い形の突起に対して、赤個体は短い線状の凹凸になっています。
この特徴は、以前に作ったH.asperifolia×H.humilis(Rec124)の人工交雑株の特徴と似ているので、この個体は付近のフミリスタイプの種類との自然交雑種かと思います。
フミリスタイプの種類がここから30mほど離れた斜面で僅かな数だけ生息していたのでそれらが偶然混ざったものかと。
最後に最高の斑入り株を発見。
白斑と黄斑の葉が展開していて、花芽まで斑が回っているので将来有望株。